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設楽ダムニュース

設楽ダム着工 計画から36年 20年度完成予定(2009年8月5日 読売新聞)
環境保全は「へ理屈」 まず「ダムありき」 2009年10月11日 中日新聞朝刊
設楽ダム事業評価水増し 建設費分を流水維持効果として計上 2009年10月11日  東京新聞
東三河の水系連絡管、完成後使用ゼロ 設楽ダム不要論も 2009年10月25日 09時29分 中日新聞



設楽ダム着工 計画から36年 20年度完成予定
http://chubu.yomiuri.co.jp/news_kan/kan090805_2.htm?from=nwlb

 設楽町の豊川上流に予定されている設楽ダムの取り付け道路の建設工事が4日、同町川向地区で始まった。1973年の建設計画提示以来、36年を経てダムの着工となった。

  取り付け道路は、今年10月末までに国道257号の設楽大橋近くの県道(幅約5メートル)を約90メートル区間にわたって約6メートルに拡幅し、大型ト レーラー(40トン)が建設用資材を運び込めるようにする。その後、約5か年にわたり、ダム本体の工事地点までの道路約5キロ区間を整備する。ダム本体建 設予定地の掘削工事は2013~14年度になり、20年度に完成予定。設楽ダムは利水、治水のための多目的ダムで、総貯水量9800万トン。建設費は2070億円で、地元へのダム対策費も含めると総事業費約3000億円の巨大事業となる

(2009年8月5日 読売新聞)



環境保全は「へ理屈」 まず「ダムありき」
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2009101102000144.html
2009年10月11日 朝刊



  1200億円相当の環境保全効果をもたらす-。現実離れした国土交通省のお手盛りぶりが明らかになった豊川上流の設楽ダム(愛知県設楽町)。環境を隠れみ のに事業の正当性を膨らませていたことに、流域の漁業関係者らは怒りの声を上げた。不明朗な算出手法を根拠に計画されたダム事業は全国に広がっており、建 設の是非があらためて問われることになりそうだ。

 ダムは山からの砂をせき止め、河床の砂を減らし、川を変ぼうさせる。豊川流域には既に 2つのダム、5つの頭首工(取水ダム)が造られ、アユは減る一方。「ダムは自然環境を壊す面の方が大きい。へ理屈だ」。設楽ダムより下流側の愛知県新城市 の山口忠利・寒狭川下漁協組合長(72)は国の主張にあきれる。

 国が重視するのは、同市の大野頭首工からすぐ下流の区間。渇水時に流れが途切れる「瀬切れ」が起きる。しかし山口さんによれば、ここは既に川が細り、魚が消えた区間。「いまは瀬切れしても、死ぬアユがいない」

 アユの保存活動に携わる同市の林道敏さん(61)も正常量を流すという国の「使命感」に迷惑顔。「帳尻を合わせて水量だけ戻しても、かえって水がよどむだけ」

◆需要減を穴埋め


 設楽ダムの計画貯水量は、当初の目的だった農業用水、水道用水が減った穴を、環境保全という「錦の御旗」で埋めてきた。

 計画貯水量が1億トンの大台に乗ったのは1996年。水没戸数が増えるため、当時は設楽町が猛反発した。大半を占めたのが流水維持の容量で、2006年には農業、水道用水の需要が構成比13%まで減ったが、流水維持が同61%まで伸びて規模を支えた。


設楽ダム事業評価水増し 建設費分を流水維持効果として計上
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009101190093358.html
2009年10月11日 09時33分

 国交省によると、流水維持効果を建設費で代用することを公的に裏付けた計算マニュアルや通知はない。同省は環境保全の効果の試算はできないとした上で「水を確保するにはダムでためるしか方法がない。その建設費を効果額とみなすのが妥当」(河川環境課)と主張する。

 建設費を支出と効果に二重計上する手法は、農林水産省も用水やダム事業で用いていたが、「費用が効果という理屈はおかしい」との専門家の批判もあり2年前に廃止した。

 環境保全を掲げる設楽ダムは、流水維持の水量が貯水量全体の6割を占める。環境保全の効果をゼロと仮定すると、費用対効果は「2・0」に低下。国交省が昨年に本体着工した青森県の津軽ダムは、現行の「1・3」から不採算の「0・6」となる。


 
東三河の水系連絡管、完成後使用ゼロ 設楽ダム不要論も
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2009102590092940.html
2009年10月25日 09時29分
 

 愛知県企業庁が34億円をかけて同県幸田町-蒲郡市間に整備した飲料水の連絡管(通称・幸田蒲郡線、約11キロ)が2002年度の完成後、一度も 使用されていないことが分かった。企業庁は「災害に備えた施設で、利用しない方が理想的」と説明する。しかし、国が同県設楽町で計画する設楽ダムに反対す る市民グループは「渇水時に連絡管を使えば、水系を越えて水を融通することができ、ダムを造る必要はなくなる」と主張。連絡管を活用しない県の姿勢を批判 している。

 連絡管は鋼管製で、幸田浄水場(幸田町)と蒲郡ポンプ場(蒲郡市)をつなぎ、矢作川水系と豊川水系とで水を融通し合うのが目的。幸田側から蒲郡側に日量5千トン、蒲郡側から幸田側には2万5千トンを送水できる。

  企業庁によると、連絡管は地震や水質汚染事故などで通常使用している送水管の給水が止まった際の補助的な位置づけ。ただ、完成後に水を正常に送れるかどう かをチェックする試験も行っていないという。同庁は、試験を実施しないことについて「一度水を流すと水あかが残って腐食するから」と説明。いきなり本番で の使用になる点についても「問題はない」としている。

 災害で連絡管を使用する場合は県の判断で行う。渇水で利用したい場合は、水系ごとに水利権があるため、権利者間で協議しないと連絡管を開くことはできないという。

 世界的な異常気象を背景に学識経験者などで組織する国土交通省の審議会は昨年、渇水時には水系にとらわれず広域的に水を融通し合うなど、柔軟な水資源の活用が必要になると報告している。

 設楽ダムは治水・利水を目的とした総容量9800万トンの多目的ダム。渇水時に安定的に水を供給することが建設目的の一つとされている。

  <連絡管> 浄水場やポンプ場からの送水管同士をつなぎ、相互に飲料水を送る施設。川の原水を直接送る導水路とは異なる。愛知県内には1982(昭和 57)年以降、幸田蒲郡線を含む9路線が造られ、総延長は約65キロ。全国的にも災害時を想定した緊急用連絡管の整備が進み、奈良県や神奈川県には渇水時 の利用を想定したケースもある。

(中日新聞)


愛知・設楽ダム予定地 政権交代後も進む契約・住民補償
http://www.asahi.com/national/update/1212/NGY200912120001.html
2009年12月12日13時36分


  設楽ダム(愛知県設楽町)建設問題で、国土交通省が地権者約80人と約11億円の用地買収の契約を結んだことが11日わかった。一方、愛知県などが負担す る水没予定地住民らへの「感謝見舞金」も4億2700万円の交付が決まった。これらの大半は、民主党が圧勝して政権交代が確実になった総選挙以降に契約や 申請がなされたものだという。ダムの建設自体が中止される可能性もある中で、補償が進んでいる。

 同日、設楽町議会のダム対策特別委 員会で示された。国交省によると、10日までに用地買収の契約が済んだのは地権者約770人のうち、水没予定地住民数人を含む約80人。水没地面積約 300ヘクタールの約11%を取得し、契約額は約11億円という。最初の契約は6月末だったが、9月以降が7~8割を占めるという。

  一方、「感謝見舞金」は水没や道路の付け替えなどで移転を余儀なくされる住民に支払われる。同町の事業だが、費用は県とダム受益地の豊橋市など下流5市1 町が負担する。町によると、住民が申請して「ダムの補償契約締結に協力する」という確約書を提出すれば交付される。対象となる124世帯のうち、これまで に73件の申請があり、4億2700万円の交付が決まった。このうち68件が、10月半ば以降の決定だという。

 前原誠司国交相は同 月9日にダム事業の見直しを表明。設楽ダムの来年度以降の方針は、年末の政府予算提出時までに示される。国交省設楽ダム工事事務所は「契約を急いだ方が良 いと考える人がいるかもしれないがわからない。今年度予算はそのまま使って良いので、予定通り用地買収を進めている」としている。(小渋晴子)
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