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淀川水系ダム

・周辺ダムの長寿化盛る 三重・川上ダム建設目的 国交省 08/01/10
・水利権譲りダム縮小? 大阪→伊賀 淀川流域委提案へ  08/01/26
・淀川水系4ダム「必要なし」の意見書 流域委提出へ     08/04/10
・国交省、淀川水系の4ダム整備計画作成 6府県に送付   08/06/20
・淀川水系4ダム、整備計画案に盛り込む 流域委は反発   08/06/20



周辺ダムの長寿化盛る 三重・川上ダム建設目的 国交省
http://www.asahi.com/politics/update/0110/NGY200801090015.html
2008年01月10日10時43分

  国土交通省近畿地方整備局が三重県伊賀市で建設事業を進める川上ダムの建設目的に、従来の治水と利水に加えて全国で初めて「既設ダムの長寿命化」を打ち出 し、昨年8月策定の淀川水系河川整備計画の原案に盛り込んでいたことがわかった。周辺の四つの既存ダム湖にたまった土砂撤去のために各ダムの貯水量を減ら し、その分を川上ダムで代替貯水するという。しかし、専門家からは「不要なダムを造るために、新たな目的を持ち出した」との批判が出ている



 近畿地方整備局によると、淀川につながる木津川水系にある高山(京都府南山城村)、布目(奈良市)、比奈知(三重県名張市)、青蓮寺(同)の4ダムの貯水量を代替する「長寿命化容量」830万トンを、川上ダムの利水・治水のための容量に上乗せした。

 川上ダムは当初、三重、奈良両県と兵庫県西宮市が利水を受ける計画だったが、奈良県と西宮市が利水から撤退。三重県も利水量を約4割減らし、計約1000万トンの水が計画で浮いた。

 原案は、このうち830万トン分を長寿命化容量に転換。これにより、ダムの堤高は90メートルになり、利水撤退前の91メートルとほぼ同規模に維持された。長寿命化容量がないと、さらに9メートル低くて済む。

  ダム湖の堆砂(たいさ)は全国的な課題で、高山ダムでは06年で建設時の想定を上回る堆砂がある。同整備局は、ダム湖からの浚渫(しゅんせつ)では1立方 メートル当たり3万5000円かかるが、川上ダムに長寿命化容量を設けて水位を下げて掘削すれば同4300円で済むと試算。100年単位でも安上がりだと 説明する。

 しかし、原案を審議する同整備局の諮問機関「淀川水系流域委員会」の前委員長で元京大防災研究所長の今本博健・京大名誉教授 (河川工学)は「集水域が違えば雨の降り方も違うため、他ダムの貯水機能の代替には本質的に無理がある」と指摘。「堆砂は水中ポンプでの吸い出しや、非出 水期に水位を下げての除去もでき、川上ダムにあえて長寿命化容量を確保する必要性はなく、治水と利水も別の方法でできる」と批判する。

 同ダムをめぐっては、淀川水系流域委員会が03年1月に「ダムは原則として建設しない」とする提言を発表。治水、利水の効果について議論が続いている。



水利権譲りダム縮小? 大阪→伊賀 淀川流域委提案へ
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200801260041.html

2008年01月26日

 淀川水系の木津川上流に建設予定の川上ダム(三重県伊賀市)をめぐり、国土交通省近畿地方整備局の諮問機関・淀川水系流域委員会は、同ダムからの取水を予定している伊賀市に大阪市から水利権を譲渡するよう、近く両市に提案することを決めた。水余り状態の大阪市が1%分の水利権を手放せば、ダムからの利水が不要になり、ダムを縮小できると判断。建設費と水利権に伴う財政負担を同時に節約できる「妙案」とするが、ダム計画の見直しに直結するため、整備局側は反発している。


 同ダムは同整備局が淀川水系に計画・建設中の5ダムの一つで、92年に建設を開始。ダム本体は未着工だが、当初850億円だった建設費が1230億円までに膨れ上がり、すでに460億円が投入された

 大阪市は上水道用に日量267万トンの水利権を確保しているが、06年度の1日平均取水量は130万トンで、最大でも149万トン。89年以降もピークは180万~190万トンで、3~5割の「水余り」が常態化している。

  一方で、伊賀市は川上ダムから日量2万8750トンを取水する予定。学識経験者や流域住民らでつくる流域委では、同ダムから約10キロ離れた青蓮寺ダム (同県名張市)に日量8万9424トンの水利権を持つ大阪市が、その分を伊賀市に有償譲渡して導水すれば賄えるとの意見で一致。両市の意向を確認すること で合意した。宮本博司委員長らが28日以降に両市長らと面談し、交渉する方針。

 伊賀市が川上ダムの利水から撤退すれば、容量3100万 トンのうち350万トンが不要になる。利水事業への参加自治体はほかになく、計画自体も白紙になりかねない。淀川水系では大戸川(大津市)、丹生(滋賀県 余呉町)など3ダムで利水が不要となり、事業凍結や規模縮小を強いられた。

 提案に対し、川上ダムを推進する整備局は「水需要が一時的に減少したからといって、水利権を譲渡するのは適切でない」と文書で委員会に回答。両市との調整には応じない考えだ。

 大阪市が持つ水利権の初期投資は総額575億円で、維持費は年7・8億円。市はかつて、阪神水道企業団などに一部譲渡を検討したが、実現には至らなかった。担当者は「市民の財産なので簡単に手放せないが、国には譲渡のルールを作ってほしい」と打ち明ける。

 伊賀市が川上ダムから取水するコストは、当初の計算で1リットル約400円と割高だ。市幹部は「川上ダムからの取水を最優先に考えたいが、より安価な水源なら検討の余地がある」と話す。
     ◇
  前淀川水系流域委員長の今本博健・元京大防災研究所長の話 事業費が膨大な川上ダムより、既存の青蓮寺ダムから取水すれば、伊賀市のコストは格段に安く済 むはずだ。財政難にあえぐ大阪市も余った水利権を売ることができる。両方の市民が得をする提案なのに、ダムにこだわるのは行政の無駄。整備局は「最初に建 設ありき」の姿勢を改め、良識的な視点に立つべきだ。

 <水利権> 河川や湖、ダムの水などを排他的に利用できる権利。自治体の水道水 は、河川法の規定で国などの河川管理者が許可を出す。取水施設の初期投資や維持費用がかかる。水利権の譲渡は河川法で認められており、毎年1~2件の実例 があるが、河川管理者の許可が必要で、既存施設の買い取りや維持費用の負担も生じる。



淀川水系4ダム「必要なし」の意見書 流域委提出へ
http://www.asahi.com/national/update/0410/OSK200804100085.html

2008年04月10日21時19分

 国土交通省近畿地方整備局が建設・計画中の淀川水系ダムをめぐり、同整備局の諮問機関「淀川水系流域委員会」(24人)が22日、審議対象の4ダムの必要性を否定する意見書をまとめる。多くの委員が「ダム以外の治水対策の検討を尽くしていない」と判断した。意見書に拘束力はないが、専門家や住民で作る流域委が出した「ダム不要」の結論は、整備計画に大きな影響を与えるとみられる。

  同整備局は淀川水系の新河川整備計画の参考にする目的で、01年に流域委を設置。流域委は03年、大戸川(だいどがわ)(大津市)▽天ケ瀬(京都府宇治 市)▽川上(三重県伊賀市)▽丹生(にう)(滋賀県余呉町)▽余野川(大阪府箕面市、計画廃止予定)の5ダムについて、「原則建設しない」との提言をまと めた。

 整備局は05年7月に大戸川、余野川の2ダムを凍結すると発表。07年2月から流域委をいったん休止させた。しかし、整備局は国の意向を受ける形で同年8月に「余野川を除く4ダムは必要」と一転させ、メンバーを入れ替えた流域委で審議を再開させた。

  流域委は計20回の会合で、整備局が出した治水効果や事業費などの資料を検証した。今年3月、改めて「4ダムは認めない」とする宮本博司委員長と2人の副 委員長による意見書案を作り、各委員に提示。「遊水池などダム以外の治水策が十分検討されていない」「堤防強化で対応できる」などの意見が噴出し、「ダム 建設を整備計画に位置づける必要性・緊急性は疑わしい」と判断した。

 約8時間に及んだ今月9日の会合後、宮本委員長は「整備局の説明ではゴーサインは出せない、というのが全体の意見だった」と語った。流域委は22日の会合で意見書を最終的にまとめ、整備局に提出する方針だ。

 これに対し、整備局の井上智夫・河川調査官は「流域委の意見は踏まえる」と述べたものの、ダム不要の結論を受け入れるかどうかは明言を避けた。



国交省、淀川水系の4ダム整備計画作成 6府県に送付
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080620AT3S2001J20062008.html


 国土交通省近畿地方整備局は20日、琵琶湖・淀川水系の4つのダム整備方針を盛り込んだ河川整備計画を作成し、大阪など周辺6府県に送付したと発表した。8月をメドに各府県知事からの同意を得たうえで正式な河川整備計画を策定し、2009年度予算の概算要求に盛り込む。

 大戸川ダム(大津市)など4ダム整備を巡っては、同局の諮問機関「淀川水系流域委員会」が堤防強化など治水の代替策検討による見直しを求めていたが、「実現が困難で技術的に解決できない課題がある」などとして退けた。(20:02)



淀川水系4ダム、整備計画案に盛り込む 流域委は反発
http://www.asahi.com/national/update/0620/OSK200806200117.html
2008年6月20日20時16分

計画案に盛り込まれた4ダム


  国土交通省近畿地方整備局は20日、淀川水系で4ダムの建設を盛り込んだ河川整備計画案を発表した。ダム計画については、同整備局の諮問機関「淀川水系流 域委員会」が「不適切」と疑問視する意見書を4月下旬に提出、対立が続いていた。河川整備をめぐり、国交省側が諮問機関の意見に反して計画案をまとめるの は極めて異例で、流域委は反発を強めている。

 同計画では、今後20~30年間で取り組む整備事業の具体策を決める。建設や再開発の計画が盛り込まれたダムは、大戸(だいど)川(大津市)▽天ケ瀬(京都府宇治市)▽川上(三重県伊賀市)▽丹生(にう)(滋賀県余呉町)の4ダム。

  計画案によると、大戸川、川上の2ダムは、桂川(京都市伏見区)を拡幅するなど改修した場合、淀川本流に大量の水が流入。200年に一度の大雨が降ると安 全に水を流せる「計画高水位」を超え、上流にダムが必要とした。丹生ダムは異常渇水が起きた時に備え、貯水容量を確保するとしている。洪水対策のため放流 量を増やす改良工事を進めている天ケ瀬ダムは継続とした。形式が決まっていない丹生ダムを除く3ダムの総事業費は計約2740億円。

 整 備局は昨年8月、今回の計画案のたたき台となる計画原案を公表。各分野の専門家や住民らで構成する流域委(宮本博司委員長、24人)が審議してきた。4月 22日、治水効果などから必要性に説得力がないとして、4ダムを「計画に位置づけるのは適切ではない」と指摘。堤防強化などダム以外の治水対策の検討が不 十分として、計画原案の再提示を求める中間の意見書を提出していた。

 整備局はこの日、大阪、京都、滋賀、奈良、三重、兵庫の流域6府県知事に計画案を送付。8月末までに各知事から意見を聴取して整備計画を最終決定したい考えだ。今後は計画案に対する各府県知事の対応が焦点となる。

  同整備局の谷本光司河川部長は「流域委の意見は、堤防強化がダムの代替案になるという誤解に基づいており、計画案に反映できるものではなかった」と述べ た。流域委の宮本委員長は「流域委の意見をまったく無視した格好で、強引に進めていく整備局の姿勢は非常に残念だ」と批判した。

京都・滋賀・大阪3知事が湖上懇談
23日、淀川水系の治水政策論議
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008081900177&genre=A2&area=S00

  京都、滋賀、大阪の3府県知事が、23日に琵琶湖で環境学習船「うみのこ」に乗船し、琵琶湖淀川水系全体の治水政策などについて懇談することが明らかに なった。大戸川ダムなどの建設を盛り込んだ国の淀川水系河川整備計画案に対する3知事の意見に関心が寄せられるなか、「湖上の鼎談(ていだん)」に注目が 集まりそうだ。

滋賀県が県営ダム凍結へ 嘉田知事の選挙公約
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/184052/
10/04 00:10更新

 滋賀県の嘉田由紀子知事は3日、支持者らとの会合で、計画中の県営芹谷ダム(同県多賀町)について「(予算面から)現実的な対応をせざるを得ない」と述べ、計画を凍結する方針を示した。

 嘉田知事は平成18年の知事選で、芹谷ダムの計画凍結を公約にして当選。19年2月、「ダム以外の代替案は困難」としていったん計画推進に方針転換したが、厳しい県財政などを考慮、最終的に凍結を決めた。

 嘉田知事は、淀川水系の4ダム建設を盛り込んだ国の河川整備計画案に対する意見も求められており、影響しそうだ。

 芹谷ダムは、彦根市などを流れる芹川に計画中の治水専用ダム。総事業費は398億円。

 県は、5日に彦根市で会議を開き、地元住民に説明する予定で、10月中に計画凍結を最終決定する方針だ。




滋賀県が大戸川ダム代替案 新堤防など97億円
http://209.85.175.104/search?q=cache:y36sl-tCMDsJ:www.asahi.com/eco/OSK200808060176.html
2008年8月7日6時10分

大戸川ダム計画
滋賀県が検討しているダム代替案のイメージ



  国土交通省近畿地方整備局が淀川水系で計画している大戸川(だいどがわ)ダム(大津市、総事業費約1080億円)について、滋賀県がダム計画の中止を想定 し、独自の洪水対策案をまとめていることがわかった。同市内の大戸川流域に限った対策で、既存堤防の外側に「第2堤防」を築造し、住宅の土地をかさ上げし て浸水被害を防ぐ。事業費は約97億円と試算している。国直轄事業に対して地元自治体が代替策を練るのは異例。国が今後、計画の賛否について意見を聴く流 域の他府県知事の判断にも影響を与えそうだ。

 整備局は淀川水系で大戸川など4ダムの建設・再開発を計画中だが、諮問機関の淀川水系流域 委員会はダム計画を「不適切」と指摘している。また、流域の嘉田由紀子・滋賀県知事と橋下徹・大阪府知事、山田啓二・京都府知事は地元に多額の負担金が生 じることや、整備局と流域委が対立した状態のままで国が最終の計画を策定することには慎重姿勢を示している。

 このため、滋賀県は大戸川ダムの建設中止を視野に入れる一方、地元ではダム建設を求める住民の声もあることから、県庁内部でダムに頼らない代替策を検討していた。

  代替策は、大戸川下流域で最大規模の1958年の洪水を基に約670戸が浸水すると想定。対策として、既存堤防の外側に、住宅集積地の約480戸を囲む 「輪中堤」と呼ばれる別の堤防をさらに築く。点在している約190戸は家屋の床下を高くしたり、地盤改良などで宅地自体をかさ上げしたりして被害を防ぐ。 新堤防は延べ約7キロで建設費は約40億円、かさ上げは1戸につき約3千万円で計約57億円と試算した。

 整備局は淀川下流で100~200年に一度の規模の洪水が起きた場合に備え、上流に大戸川ダムの建設を計画した。このため淀川全体の洪水対策が目的の同ダムの総事業費と、大戸川流域に限った滋賀県の代替策との費用を単純比較することはできない。

  整備局は6月に計画案を嘉田知事に説明した際、大規模な洪水をもたらした82年の台風10号を基に試算した結果、大戸川下流で481戸の浸水被害が出ると 説明。これに対し、嘉田知事は「当時の下流域の被害は10戸ほどだった。実態と違い、被害を強調したデータで大変不満」と疑問点を指摘していた。

  代替策について嘉田知事は「あらゆるケースを想定し検討している。環境に対し劇薬とも言えるダムは治水対策の最後の手段。県内同規模の河川と比較し、97 億円をかける必要があるかどうかも課題だ」と話し、費用を絞った案も検討する方針を示した。整備局によると、大戸川ダムを建設した場合の滋賀県負担額は約 14億円とされる。

 整備局は6月に、大戸川▽丹生(にう)(滋賀県余呉町)▽川上(三重県伊賀市)▽天ケ瀬(京都府宇治市)の4ダムを含む河川整備計画案を発表した。(新井正之)





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